ムシのはなし その1
ーセミとセイスウの深〜い関係

  2つの素数1317をともに割り切る数は1しかない。またこの2数に共通な倍数のうち一番小さい数は、ふたつををそのまま掛けた13×17221となる。そう、小学校で習う最大公約数、最小公倍数だ。

 赤いチャンチャンコを来てお祝いする()還暦も自分の生まれた時の暦(干支)に戻るという意味だ。この〈干支(えと)〉は、〈ね,うし,とら,…〉と12の動物たちが登場する十二支と〈甲きのえ,乙きのと,丙ひのえ,…10種の十干(じっかん)2つの周期1012の最小公倍数60となる。

 

 たとえば121,2,3,4,6,12で割ることができ、約数の個数が多い数(高度合成数といわれる)である。その一方で〈素数〉は1と自分自身でしか割れない数だ。八方美人の高度合成数に対して、素数には孤高のイメージが漂う。この〈素数〉なるもの、昔から数学者を魅了し続けてきて、数学の世界では、今もなお謎多き魅力的なジャンルである。もちろん僕も前を走る車のナンバーが〈練馬13-41〉とかだったとするとなぜか妙に興奮する。笑

 

 アメリカに素数ゼミといわれる種類のセミがいる。アメリカ有数の都市イリノイ州のシカゴ郊外の某所より北側に13年ゼミ、南側に13年ゼミの変種の17年ゼミが棲息する。棲息とはいっても、丸12年間土の中にいて13年目に羽化し、人が目にできるのは長くても一ヶ月だけである。

 このちょうど境界線付近は13年ゼミと17年ゼミの両方が棲息する。今年は前回に同時に羽化した時から221年目(13×17)にあたるのだ。もちろシカゴがまだなかった昔のことである。

 規則正しい自然の法則に導かれて予測ができるのは天体ショーさながら、今年の6月〜7月、アメリカ全土から蝉の羽化ショーの見学者が訪れ、彼らは身体中蝉だらけになったようだ。笑

 13年と17年ゼミが交配すると15年の素数ではないセミになってしまいはしないかと心配するが、どうやら幼虫として地中に過ごすのは4の倍数ということらしい。4×31134×4117というわけだ。でもなぜ4の倍数なのか?疑問は尽きない。

 ここ数ヶ月、素数17に世間の注目が集まる。日本でもアメリカでも。次から次へと凄いことをやってのける背番号17である。今週末はワールドシリーズ、ワクワクせずにはいられない。

 

LINEで送る

記事にコメントする

内容をご確認のうえ、送信ボタンを押してください。