それぞれの受験 ー中学受験の風景

   受験する塾生は1月の最終週くらいから小学校を休み、朝から自宅や塾でそれぞれ心静かに最後の調整を粛々と進めていきます。ちょうどウイルスが猛威を奮うこの時期、インフルエンザなどに罹りでもしたら、このときのために2、3年かけてきた努力が台無しになってしまいます。

    この直前の時期は、過去問を解いたり、一回通してやった過去問の復習をしたり、国語の知識分野や理社の確認をしたり‥。中学入試という儀式に向かって、修行僧のように神妙な時間を過ごします。子供なりにやがて来たる試練の時に真摯に向かい合おうと覚悟するのですね。

  親はこの時期、規則正しい生活の管理と、頭が良くなる食事の準備、時には子供のストレスを発散させ、湿度を60%に保ち、過去問のコピーにコンビニ奔走し、過去問が終わったら採点して、点数を記録して、ネットで志望校の志願状況を確認したり、父親が酔っ払って帰って来ると、余計なことを言わないように玄関に走って行って(笑)、うがいと手洗いをさせたり‥まあやることは多いかもしれません。

 中学校側は入試を5回に分けて試験を行ったり、午後入試を増やしたりと様々に入試の形態を変えることがあります。中学入試は、短期間に凝縮されて実施されます。埼玉などの1月中の入試、そして都内では2月1日からの約5日間に受験生が集中します。この受験では、どの中学校のどの試験を、どう受けていくかという戦略と、それに向けてどのように合理的に能力を開発し、受験勉強を進めていくかという戦術を練ることが重要です。そしてもちろん精神的な支えこそが必要です。

中学受験、「サイは投げられた」 のであれば、真っしぐらに合格に進むしかありません、競争試験ですから。しかし親として忘れてはいけないことは、中学受験というハードルを設定し、この受験という営みを通して、本人が人間的に成長するように促すことです。

本人にとってよかれと思う志望校の選択、学習に向かう態度、ストレスの管理、親の期待と子供とのズレ‥など様々な場面で、別の人格である本人と正面から濃密に向かい合う中で、子供は実に多くのことを学んでいます。また親自身も子供や家族の新たな一面や新しい有り様を再発見し、成長することができるものです。

中学受験―苦しいけれど楽しい家族の密かなイベントかも知れません。

2019.03.08更新|MJ通信